ドアが閉まれば、自動で施錠してくれる、玄関の自動ロック。その「閉め忘れがない」という絶対的な安心感は、非常に魅力的です。しかし、その一方で、「もし、ハッキングされたらどうするのか」「電子機器だから、故障が心配だ」といった、セキュリティに対する漠然とした不安を感じる方も、少なくないでしょう。果たして、玄関の自動ロックは、従来のアナログな鍵と比べて、本当に安全なのでしょうか。この問いに答えるためには、そのシステムの「メリット」と「リスク」の両方を、正しく理解する必要があります。まず、自動ロックが、防犯性を「向上させる」側面を見てみましょう。警察庁の統計によれば、住宅への侵入窃盗で、最も多い手口は、実は、ピッキングなどの高度な技術ではなく、「無締り」、つまり、鍵のかけ忘れの家を狙ったものです。自動ロックは、この、最も人間的で、最も多い侵入原因を、システムによって、完全に排除します。これは、防犯における、計り知れないほど大きなメリットです。また、多くのスマートロックは、誰が、いつ、鍵を開け閉めしたのかという履歴を、全て記録しています。これにより、万が一、不正な侵入があった場合でも、その手がかりを追跡しやすくなります。次に、自動ロックが抱える「リスク」です。後付けのスマートロックの場合、その通信は、金融機関レベルでも採用されている「AES」という、強固な暗号化技術で守られており、通信を傍受してハッキングすることは、現実的には、ほぼ不可能です。リスクがあるとすれば、それはシステムそのものよりも、むしろ「人間側」の脆弱性です。例えば、解錠に使うスマートフォンのパスコードを、簡単なものにしている。あるいは、フィッシング詐欺に遭い、アカウント情報を盗まれてしまう、といったケースです。また、製品本体が、物理的な破壊に対して、どれくらいの強度を持っているか、という点も、考慮すべきです。そして、最大の弱点が、「電池切れ」です。電池が切れてしまえば、自動ロック機能も、電子的な解錠も、全て停止してしまいます。このリスクに対抗するためには、定期的な電池交換と、物理キーなどの、アナログなバックアップ手段の確保が、絶対条件となります。
玄関の自動ロックは本当に安全か?