車のエンジンをかけた後、あるいは走行中に、ふとメーターパネルを見ると、オレンジ色(または黄色)の鍵のマークが点灯している。普段は見慣れない警告灯の出現に、「何か重大な故障だろうか」と、不安な気持ちになる方も少なくないでしょう。しかし、多くの場合、このオレンジ色の鍵マークの点灯は、今すぐ走行に危険が及ぶような、深刻なトラブルを知らせるものではありません。それは、あなたの車の「スマートキーシステム」に関する、何らかの「お知らせ」あるいは「注意喚起」のサインなのです。この警告灯が点灯する最も一般的な原因は、「スマートキーの電池残量の低下」です。スマートキーは、内部のボタン電池を使って、常に車と通信するための微弱な電波を発信しています。この電池が消耗してくると、車側が「キーの電池がそろそろ切れますよ。早めに交換してくださいね」というメッセージを、ドライバーに伝えるために、このオレンジ色の鍵マークを点灯させるのです。これは、車の故障ではなく、あくまでキー側の問題であり、消耗品の交換を促す、親切なリマインダー機能と言えます。また、車種によっては、キーと車両の間の通信に、何らかの異常や電波干渉が発生した場合や、あるいは、車内にキーがある状態で、車外からドアをロックしようとした際など、イモビライザーを含むセキュリティシステムに、何らかのイレギュラーな事態が発生したことを示すために、点灯することもあります。いずれにせよ、赤色の警告灯が持つような、緊急性の高い危険(例えば、エンジンオイルの圧力低下や、ブレーキシステムの異常など)を示すものではありません。しかし、このサインを無視し続けると、いずれはキーが完全に反応しなくなり、エンジンがかからなくなる、という事態にも繋がりかねません。オレンジ色の鍵マークは、あなたの車が、未来のトラブルを未然に防ぐために、あなたに送ってくれている、大切な「お便り」なのです。