家の鍵を無くしてしまった時、家に入れないという不便さと共に、頭をよぎるのは「一体いくらかかるのだろう」という金銭的な不安ではないでしょうか。その費用は、鍵の種類や必要な作業内容、そして住居の形態（持ち家か賃貸か）によって大きく変動するため、一概には言えませんが、おおよその相場を知っておくことで、冷静に対処することができます。まず、単に家に入れず、鍵を開けてもらうだけで済む「解錠作業」の場合、一般的なギザギザの形状をした鍵であれば、おおよそ八千円から一万五千円程度が相場です。しかし、近年の住宅で主流の、防犯性の高いディンプルキーの場合、解錠の難易度が上がるため、費用は一万五千円から三万円程度になることが一般的です。次に、防犯上の観点から、鍵そのものを交換する「シリンダー交換作業」が必要になった場合、費用はさらに上がります。ギザギザの鍵の交換であれば、部品代と作業費を合わせて一万五千円から二万五千円が目安です。一方、ディンプルキーの場合は、シリンダー自体の価格が高いため、二万五千円から四万円以上かかることも珍しくありません。特に、賃貸物件の場合は、紛失した鍵が悪用されるリスクを防ぐため、このシリンダー交換が必須となるのが一般的です。オートロック付きのマンションであれば、マスターキーシステムに対応した特殊なシリンダーが必要となるため、費用はさらに高額になり、五万円を超えるケースもあります。鍵一本を無くしたという、ほんの一瞬の不注意が、数万円単位の大きな出費につながる可能性がある。この現実を直視し、迅速かつ誠実に対応することが、被害を最小限に食い止めるための鍵となるのです。