玄関ドアの上部に取り付けられ、ドアの閉まる速度を制御しているドアクローザー。普段はその存在を意識することは少ないですが、これに不具合が生じると、ドアが激しく閉まって怪我の原因になったり、逆に半開きになって防犯上のリスクが生じたりします。ドア修理の依頼の中でも、ドアクローザーに関するものは非常に多く、そのほとんどが日常の点検で防げるか、あるいは初期段階で安価に直せるものです。故障の予兆として最も分かりやすいのは、本体の側面や底面からの「油漏れ」です。ドアクローザーは内部の油圧で速度を制御しているため、油が漏れ出すと制御が効かなくなり、最後にはバタンと急激に閉まるようになります。一度油が漏れきってしまうと修理は不可能で、本体交換しか道はありません。油漏れが起きる前の段階であれば、多くのトラブルは調整弁の操作で解決可能です。ドアクローザーの側面には、速度を調整するための第一速度弁と第二速度弁が付いています。これをプラスドライバーで時計回りに回せば遅くなり、反時計回りに回せば早くなります。季節の変わり目、特に気温が大きく変化する時期には、内部の油の粘度が変わるため、微調整が必要になることがあります。これを怠って無理な力でドアを閉め続けたりすると、内部のパッキンに過度な負荷がかかり、寿命を縮めることになります。また、アームの連結部分にあるネジが緩んでガタついているのも、放置してはいけないサインです。ドアクローザーを長持ちさせるための秘訣は、何と言っても「ドアの開閉に無理な力を加えないこと」に尽きます。自動で閉まろうとしているドアを無理に手で押し閉めたり、逆に風が強い日に全開のまま放置してアームに無理な負荷をかけたりすることは、故障の最短ルートです。また、多くの人がやってしまいがちなのが、ドアクローザーのストップ機能を過信し、ストッパーを使わずにドアを開け放しておくことです。これも特定の部品に強い負担がかかり続けます。ドア修理のプロを呼ぶ前に、まずは半年に一度でもクローザー本体を乾いた布で拭き、油漏れがないか、ネジの緩みがないかを確認するだけで、トラブルの多くは未然に防げます。もし異常を感じたら、本格的に油が漏れ出す前に専門業者に相談することが、修理費用を抑える賢明な判断と言えるでしょう。一方、冬場にはパッキン類の硬化にも注意が必要です。玄関ドアなどの気密性を高めるゴムパッキンは、寒さで硬くなり、ドアを閉める際に強い力が必要になることがあります。この場合は、パッキンにシリコンスプレーを薄く塗布して柔軟性を保たせるか、経年劣化が激しい場合は新しいものに交換する修理が必要です。季節ごとのドアの状態を観察し、ほんの少しの調整を加えてやるだけで、ドアの寿命は格段に延びます。自分で調整するのが不安な場合は、年に一度、定期点検として専門業者に依頼するのも賢い方法です。季節に寄り添い、住宅の「呼吸」に合わせてドアを整えること。それは、日本という風土の中で長く快適に住み続けるための、先人から受け継がれた知恵の形でもあります。ドア修理は、まさに家を慈しむ季節のしきたりと言えるでしょう。
ドアクローザーの故障を防ぐ点検の知識