それは、うだるような暑さの夏の日の午後でした。週末のまとめ買いを終え、スーパーの広大な屋外駐車場に戻ってきた私は、両手に抱えた重い買い物袋を早く車に載せたい一心でした。リモコンキーでトランクを開け、次々と荷物を積み込んでいきます。最後の牛乳パックを収め、これで完了と安堵のため息をつきながら、無意識にトランクのリッドを「バタン」と閉めてしまいました。その瞬間、全身の血の気が引くのを感じました。いつもならズボンのポケットに入れているはずの、車のキーの硬い感触がありません。まさか、と思い全てのポケットを探りましたが、結果は無情にも空っぽ。最後にキーを使ったのは、トランクを開ける時。そして、おそらく荷物と一緒にキーをトランクの中に置いてしまったのです。私の車はスマートキー搭載車で、本来ならキーが車内にあればトランクは閉まらないはずでした。しかし、その日は運悪くスマートキーの電池が消耗していたのか、あるいは荷物の置き場所が悪く電波が遮断されたのか、インロック防止機能は作動しませんでした。炎天下の駐車場で、私は完全に立ち往生です。車内にはエアコンを冷やすための飲み物もありません。じりじりと照りつける太陽が、私の焦りをさらに増幅させます。スマートフォンで「車 トランク 閉じ込み」と検索し、いくつかの鍵屋に電話をかけました。しかし、どこも到着まで一時間以上かかるとのこと。途方に暮れていた時、ふと自動車保険のロードサービスが付帯していたことを思い出しました。急いで保険会社の緊急連絡先に電話をすると、幸いにも30分ほどで提携業者が到着できるとのこと。その言葉に、どれほど救われたことでしょう。待っている間は、スーパーの日陰で水分補給をしながら、ただひたすら自分の不注意を悔やみました。やがて到着した作業員の方は、手際よく状況を確認すると、専用の工具を使って運転席のドアの鍵をものの数分で開けてくれました。車内からトランクのオープナーを引き、固く閉ざされていたトランクが開いた時、私は心の底から安堵しました。この苦い経験は、私にとって忘れられない教訓となり、それ以来、キーは必ず身につけるという習慣が徹底されたのは言うまでもありません。