見知らぬ土地へのドライブや家族旅行の最中に、車の鍵を無くしてしまった時の絶望感は言葉にできません。美しい景色や美味しい食事を楽しんでいたはずが、一瞬にして帰宅の手段を失い、途方に暮れることになります。私が以前、山間部のキャンプ場で鍵を紛失した際は、まさにその状況でした。携帯電話の電波も不安定な場所で、周囲に民家もなく、手元にあるのは楽しかった思い出の残骸だけ。そんな極限状態でも、鍵を新しく作るための方法は残されています。旅先でのトラブルだからこそ、迅速かつ的確な判断が求められるのです。 まず最初に行ったのは、契約している自動車保険のロードサービスへの連絡でした。多くの任意保険には鍵のトラブル対応が含まれており、無料で鍵開けを行ってくれる場合があります。しかし、鍵を開けることと、鍵を作ってエンジンをかけることは全く別物です。最近のスマートキーやイモビライザー付きの車の場合、物理的にドアを開けたとしても、専用のチップが埋め込まれた鍵がなければエンジンは始動しません。旅先であれば、その場から動けないことが最大の痛手となります。ディーラーに連絡しても、遠方の場合はレッカー移動の距離制限を超えてしまったり、修理完了までその土地に留まらなければならなかったりと、現実的ではないケースが多いのです。 そこで頼りになるのが、全国対応している出張鍵屋の存在です。彼らは鍵の作成に必要な工作機械やコンピューター登録用のデバイスを積んだ車両で、どんな場所でも駆けつけてくれます。私が依頼した時も、一時間ほどで到着した技術者の方が、鍵穴からデータを読み取り、ものの三十分ほどで新しいスマートキーを作り上げてくれました。その手際の良さには驚かされましたが、それ以上に、その日のうちに自分の車で帰路につけるという安心感は何物にも代えがたいものでした。費用は数万円かかりましたが、家族全員の宿泊延長代や新幹線での帰宅費用を考えれば、十分に納得できる金額でした。 旅先で鍵を無くして作るという事態を避けるためには、いくつかの予防策があります。最も効果的なのは、スペアキーを財布や別のバッグに入れて、メインの鍵とは別々に持ち歩くことです。また、海や山でのアクティビティの際は、防水ケースに入れて身につけておくか、スマートキーの電波を遮断するポーチに入れて、車の外側に磁石で固定できるキーケースを隠しておくといった工夫も有効です。それでも失くしてしまった時は、焦って自分で鍵穴をいじったりせず、プロに任せるのが一番の近道です。鍵一本の紛失が、旅の終わりを意味するわけではありません。冷静に対応すれば、必ず解決策は見つかります。
旅先で車の鍵を無くして困った時の対処法